「ソニーはカメラで『3つの軸』を攻める」 インタビュー/ソニー カメラ事業部長 田中健二

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ソニーのデジカメ戦略を率いる田中健二氏。3月発売の「α1」に、「ユーザーにとっての唯一無二」「頂点を目指す」などの思いを込めたと語る(撮影:梅谷秀司)

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デジタルカメラ市場に革新をもたらしてきたソニー。キヤノンやニコンに先駆けて製品ラインナップをミラーレスカメラ中心のものに切り替え、デジカメ市場を牽引してきた。
こうした戦略が奏功し、2019年のミラーレス生産台数のうち、ソニーのシェアは約4割と圧倒的だ。
ミラーレス戦争に出遅れたキヤノンやニコンがしのぎを削る中、ソニーはカメラ市場のイノベーターであり続けられるのか。ソニーイメージングプロダクツ&ソリューションズ社カメラ事業部長の田中健二氏に話を聞いた。

従来モデルで不可能な「極み」を実現

――「α1」が3月19日に発売されます。

「α1」は、プロの期待に応える真のミラーレスのフラッグシップモデルと位置づけている。トップクラスのスピード性能、高解像度、4K動画性能に8Kを追加することで、従来のモデルでは不可能だった「極み」を実現した。

「1」という数字には、新たなスタート地点を象徴する“The One” 、これまで撮りたくても撮れなかった一瞬を捉える“The One”、ユーザーにとって唯一無二の“The One”、頂点を目指す“The One”、などの要素が凝縮されている。

ソニーは、2010年にミラーレスカメラ初号機を発売して以来、市場を創出し、牽引してきた。α1は、プロのスポーツ・報道の現場で真価を発揮する。プロの表現や撮影の要求、創造性に応えていきたい。

――スマートフォンが普及し、長引くコロナ禍もあってデジカメ市場は苦境に立たされています。2020年のデジカメ出荷台数は、ピークだった2010年の14分の1に落ち込みそうです。

ソニーのカメラ販売は、2020年4月~6月期に需要・供給両面でコロナの影響を受けた。しかし、力を入れているフルサイズミラーレスの領域では2020年7月~9月期以降、当社の売上高はかなり回復している。10月は世界販売が前年同期を上回った。

地域によって回復の差はあるが、中国では(ECサイトの大規模イベントが行われる)11月11日の「独身の日」の販売で、前年の売上高を大きく上回った。

――中長期的にみて、カメラ市場はどこまで縮小していくとみていますか。

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